あづまばし
吾妻橋

冒頭文

一 毎夜(まいよ)吾妻橋(あづまばし)の橋(はし)だもとに佇立(たゝず)み、徃来(ゆきゝ)の人(ひと)の袖(そで)を引(ひ)いて遊(あそ)びを勧(すゝ)める闇(やみ)の女(をんな)は、梅雨(つゆ)もあけて、あたりがいよ〳〵夏(なつ)らしくなるにつれて、次第(しだい)に多(おほ)くなり、今(いま)ではどうやら十人(にん)近(ちか)くにもなつてゐるらしい。女達(をんなたち)は毎夜(まいよ)のことなの

文字遣い

新字旧仮名

初出

「中央公論 第六十九年第三号」中央公論社、1954(昭和29)年3月1日

底本

  • 荷風全集 第二十巻
  • 岩波書店
  • 1994(平成6)年10月28日