しん・すいこでん
新・水滸伝

冒頭文

()序曲、百八の星、人間界にんげんかいに宿命すること 頃は、今から九百年前。——中華の黄土大陸は大宋国(だいそうこく)といって、首都を河南(かなん)省の開封(かいほう)東京(とうけい)にさだめ、宋朝歴代の王業は、四代の仁宗(じんそう)皇帝につがれていた。 その嘉祐(かゆう)三年の三月三日のことである。 天子は、紫宸殿(ししいでん)に出御(しゅつぎょ)して、この日、公卿百官の朝賀を嘉(よみ

文字遣い

新字新仮名

初出

「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号

底本

  • 新・水滸伝(一)
  • 吉川英治歴史時代文庫、講談社
  • 1989(平成元)年6月11日