しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠

冒頭文

序 私は、元来、少年小説を書くのが好きである。大人(おとな)の世界にあるような、きゅうくつな概念(がいねん)にとらわれないでいいからだ。 少年小説を書いている間は、自分もまったく、童心(どうしん)のむかしに返る、少年の気もちになりきッてしまう。——今のわたくしは、もう古い大人だが、この天馬侠(てんまきょう)を読み直し、校訂(こうてい)の筆を入れていると、そのあいだにも、少年の日が胸によみがえ

文字遣い

新字新仮名

初出

「少年倶楽部」1925(大正14)年5月号~1928(昭和3)年12月号

底本

  • 神州天馬侠(一)
  • 吉川英治歴史時代文庫、講談社
  • 1989(平成元)年12月11日