きだんクラブ〔せんごばん〕 09 だいみょうのせがれ |
| 奇談クラブ〔戦後版〕 09 大名の倅 |
冒頭文
プロローグ その夜の話し手遠藤盛近(えんどうもりちか)は、山羊髥(やぎひげ)の萎(しな)びた中老人で、羊羹(ようかん)色になった背広の、カフスから飛出(とびだ)すシャツを気にし乍(なが)ら、老眼鏡の玉を五分間に一度位ずつの割りで拭き拭き、見掛けに依(よ)らぬ良いバリトンで、こう話し始めました。 「私の話はさしたる奇談ではありませんが、旧式の道徳観からすれば少しく途方も無いのです。旧(ふる)い秩
文字遣い
新字新仮名
初出
「月刊読売」1947(昭和22)年7月
底本
- 野村胡堂伝奇幻想小説集成
- 作品社
- 2009(平成21)年6月30日