らしんのにょせん
裸身の女仙

冒頭文

綱渡りの源吉が不思議な使い 「姐御」「シッ、そんな乱暴な口を利いてはいけない」「成程(なるほど)、今じゃ三千石取のお旗本のお部屋様だっけ、昔の積(つも)りじゃ罰(ばち)が当らア」 芸人風の若い男は、ツイと庭木戸を押し開けて植込の闇の中へ中腰に潜り込みました。 迎えたのは、二十一二の不思議な美しい女です。 武家風にしては、少し派手な明石縮(あかしちぢみ)の浴衣(ゆかた)、洗い髪を無造作に束ね

文字遣い

新字新仮名

初出

「朝日」1932(昭和7)年9月

底本

  • 野村胡堂伝奇幻想小説集成
  • 作品社
  • 2009(平成21)年6月30日