しんきだんクラブ 01 だいいちや しょやをぬすむ
新奇談クラブ 01 第一夜 初夜を盗む

冒頭文

巨万の懸賞付で奇談の競技 「久し振りで此の会を開きました。さぞ皆様は奇談、怪談、珍談を山の如く用意して下すったことと思います」 奇談クラブの集会室、幽幻な感じのする真珠色の微光が、承塵(なげし)の裏から室全体を海の底のように照して居る中に立って、幹事の今八郎は斯う口を開きました。 「世の中が斯う平凡に組織立って来ると、私共の生活は極めて安全ではあるが、その代り面白味も可笑味も無くなってしまいます

文字遣い

新字新仮名

初出

「朝日」博文館、1931(昭和6)年1月号

底本

  • 奇談クラブ(全)
  • 桃源社
  • 1969(昭和44)年10月20日