きんだんのししん
禁断の死針

冒頭文

「旦那様、これは又大した古疵(ふるきず)で御座(ござ)いますが、——さぞ、お若い時分の、勇ましい思い出でも御座いましょう」「いや、そう言われると恥かしい、後ろ傷をと言うわけでは無いが、相手の刃物が伸びて、腰車を妙に背後(うしろ)へかけて斬られて居るから、人様の前でうっかり肌を脱ぐと、飛(と)んだ変な目で見られることがある——」 本所割下水に住んで居る、浪人者の原口作左衛門(はらぐちさくざえもん)、

文字遣い

新字新仮名

初出

「講談倶楽部」1929(昭和4)年9月

底本

  • 野村胡堂伝奇幻想小説集成
  • 作品社
  • 2009(平成21)年6月30日