けんのよんくんし 02 やぎゅうせきしゅうさい
剣の四君子 02 柳生石舟斎

冒頭文

()草廬そうろの剣 一 新介(しんすけ)は、その年、十六歳であった。 大和国神戸(かんべ)ノ庄(しょう)、小柳生城(こやぎゅうじょう)の主(あるじ)、柳生美作守家厳(みまさかのかみいえとし)の嫡男(ちゃくなん)として生れ、産れ落ちた嬰児(えいじ)の時から、体はあまり丈夫なほうでなかった。 母なる人が、青梅(あおうめ)の実(み)にあたって、月盈(み)たぬうちに

文字遣い

新字新仮名

初出

「講談倶楽部」大日本雄弁会講談社、1940(昭和15)年9月~1941(昭和16)年4月

底本

  • 剣の四君子・日本名婦伝
  • 吉川英治文庫、講談社
  • 1977(昭和52)年4月1日