きそどうちゅうき |
| 木曽道中記 |
冒頭文
第一囘 鐵道の進歩は非常の速力を以て鐵軌(レール)を延長(のば)し道路の修繕は縣官の功名心の爲に山を削り谷を埋(うづ)む今ま三四年せば卷烟草一本吸ひ盡さぬ間に蝦夷(ゑぞ)長崎へも到りヱヘンといふ響きのうちに奈良大和へも遊ぶべし况(いは)んや手近の温泉塲など樋(とひ)をかけて東京へ引くは今の間(ま)なるべし昔の人が須磨明石の月も枴(おふご)にかけてふり賣にやせんと冷評せしは實地となること日を待たじ故
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「東京朝日新聞」1890(明治23)年5月3日~7月3日
底本
- 明治文學全集 94 明治紀行文學集
- 筑摩書房
- 1974(昭和49)年1月30日