ぼちへゆくみち
墓地へゆく道

冒頭文

墓地へゆく道は、ずっと国道に添うて走っていた。その目的地、つまり墓地に達するまで、ちっとも国道を離れずに走っているのである。その道のもう一つの側には、まず人家がある。郊外の新築の家々で、まだ職人の入っているのもある。それから畑が来る。縁(へり)に、ごつごつした中老の山毛欅(ぶな)の樹が立並んでいる国道のほうは、半分だけ鋪石が敷いてあって、半分は敷いてない。しかし墓地へゆく道のほうは、砂利(じゃり)

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • トオマス・マン短篇集
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1979(昭和54)年3月16日