まるのうちてんけい ‥‥とうきょうのさかりばをめぐる‥‥
丸之内点景 ‥‥東京の盛り場を巡る‥‥

冒頭文

春の夜である。 今、活動がハネたばかりで、人浪は、帝劇から丸之内の一角を通つて、銀座につゞく。 「一寸、つき合へよ、アロハ・オエを一枚買つて行くんだ」 三人連れの海軍青年士官の会話(スポークン・タイトル)。    ▽ 春の夜の、コンクリートの建物の並んだ、丸之内の裏通りのごみ箱一つ見えない、アスフアルトの往来に、ふと、野菜サラダのにほひを感じたと芥川龍之介は書いて

文字遣い

新字旧仮名

初出

「東京朝日新聞」1933(昭和8)年4月21日朝刊

底本

  • 小津安二郎映畫讀本 [東京]そして[家族]
  • フィルムアート社
  • 1993(平成5)年9月25日