ごかいのまど 02 がっさくのに
五階の窓 02 合作の二

冒頭文

6 その晩の九時半ごろのことである。 ちょうどその日、宿直の番に当たった会計の野田幸吉は、宵の口の騒ぎもほぼ静まり、ほうぼうからうるさく問い合わせてくる電話の応接もたいてい済んだので、肘掛(ひじか)け椅子(いす)をガス・ストーブの傍(そば)へ曳(ひ)きずっていって、疲れた身体(からだ)をぐったりとその上に乗せた。 彼の様子は妙にそわそわしていた。椅子を立ったり坐(すわ)ったり、ときどき社

文字遣い

新字新仮名

初出

「新青年」博文館、1926(大正15)年6月

底本

  • 五階の窓
  • 春陽文庫、春陽堂書店
  • 1993(平成5)年10月25日