ぜにがたへいじとりものひかえ 289 うつくしきひとじち
銭形平次捕物控 289 美しき人質

冒頭文

發端篇 一 「親分。あつしはもう、腹が立つて、腹が立つて」 八五郎は格子(かうし)をガタピシさせると、挨拶は拔きの、顎(あご)を先に立てて、斯う飛び込んで來るのでした。 「頼むから後を締めてくれ。野良犬がお前と一緒に入つて來るぢやないか」 錢形平次は、不精らしく頭をあげました。相變らず三文植木を眺めながら、椽側に寢そべつて、粉煙草をせゝつて居る、閑居の姿です。 「それが親分、いつもと違つて、

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「キング」1952(昭和27)年

底本

  • 錢形平次捕物全集第三十九卷 女護の島異変
  • 同光社
  • 1955(昭和30)年1月15日