ぜにがたへいじとりものひかえ 196 みっつのし
銭形平次捕物控 196 三つの死

冒頭文

發端篇 一 「お早う、親分」「何んだ八か、今日あたりはお前の大變が舞ひ込みさうな陽氣だと思つたよ。斯う妙に生暖けえのは唯事ぢやねえ」 庭木戸の上から覗く八五郎の長い顎を見付けて、平次は坐つたまゝ聲を掛けました。 松が取れたばかりの或日。 「地震と間違へちやいけません。——本郷一丁目の朝井玄龍、親分も御存じでせう」「流行(はやり)醫者だな。ちよいと好い男の坊主頭で黄八丈に黒縮緬(くろちりめん

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋新社、1949(昭和24)年1~3月号

底本

  • 錢形平次捕物全集第三十九卷 女護の島異變
  • 同光社
  • 1955(昭和30)年1月15日