ぜにがたへいじとりものひかえ 239 ぐんとう
銭形平次捕物控 239 群盗

冒頭文

一 「親分、ありや何んです」 觀音樣にお詣りした歸り、雷門へ出ると、人混みの中に大變な騷ぎが始まつてをりました。眼の早い八五郎は、早くもそれを見つけて、尻を端折りかけるのです。 「待ちなよ、八。喧嘩か泥棒か喰ひ逃げか、それとも敵討ちか、見當もつかねえうちに飛び込んぢや、恥を掻くぜ」 平次は若駒(わかごま)のやうにはやりきつた八五郎を押へて、兎も角にも群衆をかきわけました。 「はいよ、御免よ」

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「サンデー毎日」1950(昭和25)年9月3日号~17日号

底本

  • 錢形平次捕物全集第三十五卷 花嫁の幻想
  • 同光社
  • 1954(昭和29)年11月15日