ぜにがたへいじとりものひかえ 164 ゆうれいのてがみ
銭形平次捕物控 164 幽霊の手紙

冒頭文

一 江戸開府以來の捕物の名人と言はれた錢形の平次が、幽靈(いうれい)から手紙を貰つたといふ不思議な事件は、子分のガラツ八こと、八五郎の思ひも寄らぬ縮尻(しくじり)から始まりました。 「親分、近頃は暇ですかえ」「なんて挨拶だ。いきなり人の前へ坐つて、懷手(ふところで)をしたまゝ長い頤(あご)を撫でながら——暇ですかえ——といふ言ひ草は?」 平次は脂下(やにさが)りに噛んだ煙管をポンと叩くと、起き

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「月刊西日本」1946(昭和21)年8月号

底本

  • 錢形平次捕物全集第三十八卷 江戸の戀人達
  • 同光社
  • 1955(昭和30)年1月5日