一 京都の新京極は食べ物屋の飾りつけよりも、小間物や洋品を商う店の京都色の方が強くくる。 その新京極のチャチな家で夜更けてから飯を食べた——といっても連れは酒飲みだから飲まずにはいなかった。外へ出ると星の光が冴えていた。あしたの朝は屹(きっ)と霜が深かろう。 「そ、そんな物が現代にあるもんですか、あなたは見掛けによらない非科学的な方だ」 と、Tが神経質な顔に似合わず断乎とした調子で否定した