ぜにがたへいじとりものひかえ 330 えどのやこうせき
銭形平次捕物控 330 江戸の夜光石

冒頭文

一 「親分の前(めえ)だが、江戸といふところは、面白いところですね」 松もまだ取れないのに、ガラツ八の八五郎はもう、江戸の新聞種(ニユース)を仕入れて來た樣子です。長(な)んがい顎(あご)を撫で廻して、小鼻をふくらませて、滿面の得意が、鼻の先にブラ下がつてゐる樣子でした。 「面白いに違げえねえな、お互ひに江戸に生れて江戸に住んで、大(てえ)した退屈もせずに、また年を一つ取つたぢやないか」 錢形平

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「主婦と生活」1954(昭和29)年1月~3月

底本

  • 錢形平次捕物全集第三十四卷 江戸の夜光石
  • 同光社
  • 1954(昭和29)年10月25日