みしまゆきお ナルシシスムのうんめい
三島由紀夫 ナルシシスムの運命

冒頭文

1 「女が髭を持つてゐないやうに、彼は年齡を持つてゐなかつた。」——例によつて三島由紀夫得意のアフォリズムである。『禁色』に出てくる男色家ジャッキーを指して言つてゐるのだが、いつそそつくりそのまま、當の作者に當てはまりさうである。まつたく女に髭がないやうに、三島由紀夫には年齡がない。 もちろん年齡といつても、先天的な——いやつまり、戸籍上のそれぢやない。見た目が小ましやくれてるとか、變に大人つぽい

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「文學界」文藝春秋新社、1952(昭和27)年3月

底本

  • 日本現代文學全集 91 神西清・丸岡明・由起しげ子集
  • 講談社
  • 1966(昭和41)年10月19日