みやざわけんじのせかい |
| 宮沢賢治の世界 |
冒頭文
人性の中には、かの概念が、殆んど全く容喙出来ない世界があつて、宮沢賢治の一生は、その世界への間断なき恋慕であつたと云ふことが出来る。 その世界といふのは、誰しもが多かれ少かれ有してゐるものではあるが、未だ猶、十分に認識対象とされたことはないのであつた。私は今、その世界を聊かなりとも解明したいのであるが、当抵手に負へさうもないことであるから、仮りに、さういふ世界に恋著した宮沢賢治が、もし芸術論を
文字遣い
新字旧仮名
初出
「詩園」1939(昭和14)年8月号
底本
- 新編中原中也全集 第四巻 評論・小説
- 角川書店
- 2003(平成15)年11月25日