ぜにがたへいじとりものひかえ 237 どくしゅやくしゅ |
| 銭形平次捕物控 237 毒酒薬酒 |
冒頭文
一 運座(うんざ)の歸り、吾妻屋永左衞門は、お弓町の淋しい通りを本郷三丁目の自分の家へ急いでをりました。 八朔(はつさく)の宵から豪雨になつて亥刻(よつ)(十時)近い頃は漸くこやみになりましたが、店から屆けてくれた呉絽(ごろ)の雨合羽は内側に汗をかいて着重りのするやうな鬱陶しさ——。 永左衞門は運座で三才に拔けた自分の句を反芻(はんすう)しながら、それでも緩々たる氣持で足を運んでをりまし
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「サンデー毎日」1950(昭和25)年7月23日号~8月6日号
底本
- 錢形平次捕物全集第三十四卷 江戸の夜光石
- 同光社
- 1954(昭和29)年10月25日