ぜにがたへいじとりものひかえ 315 どくや
銭形平次捕物控 315 毒矢

冒頭文

一 「へツへツ、へツへツ、隨分間拔けな話ぢやありませんか」 ガラツ八の八五郎が、たがが外れたやうに笑ひながら、明神下の平次の家に笑ひ込むのです。 世間はまだ松が取(と)れたばかり、屠蘇(とそ)の香りがプンプンとして居やうといふ時ですから、笑ひながら來る分には、腹も立ちませんが、それにしても、かう不遠慮にやられては、御近所の衆が膽(きも)をつぶします。 「八の野郎がまた、ゲラゲラ笑ひながら舞ひ

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「キング」1954(昭和29)年1月号

底本

  • 錢形平次捕物全集第三十三卷 花吹雪
  • 同光社
  • 1954(昭和29)年10月15日