ぜにがたへいじとりものひかえ 308 あきまつりのよる
銭形平次捕物控 308 秋祭りの夜

冒頭文

一 錢形平次は久し振りに田舍祭を見物に出かけました。 調布(てうふ)街道を入つた狛江(こまえ)村、昔から高麗(こま)人の裔(すゑ)が傳へた、秋祭の傅統がその頃まで殘つて居て、江戸では見られぬ異國的な盛大さが觀物だつたのです。 宿は北見の三五郎、義理堅い良い目明しでした。この邊は伊奈半左衞門の支配で、江戸の眞ん中と違つて、事件は少ないやうです。が、人間と人間の關係がうるさいので、實際斯(か

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「読切小説集」1953(昭和28)年11月捕物祭

底本

  • 錢形平次捕物全集第三十三卷 花吹雪
  • 同光社
  • 1954(昭和29)年10月15日