ぜにがたへいじとりものひかえ 249 ふじみのとう |
| 銭形平次捕物控 249 富士見の塔 |
冒頭文
一 「親分、金持になつて見たくはありませんか」 八五郎はまた途方もない話を持ち込んで來たのです。やがて春の彼岸(ひがん)に近い、ある麗らかな日の晝過ぎ。 「又變な話を持つて來やがる、俺は今うんと忙しいところだ。金儲けなんかに取合つちや居られねえよ」「何が忙しいんです、——はたで見ると隨分呑氣さうですね。日向に寢そべつて本なんか讀んでゐて」「それが忙しいんだよ。曾我(そが)の五郎が助かるか、殺され
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「オール讀物」文藝春秋新社、1951(昭和26)年2月号
底本
- 錢形平次捕物全集第二十九卷 浮世繪の女
- 同光社
- 1954(昭和29)年7月15日