ぜにがたへいじとりものひかえ 015 かいでんしろいねずみ
銭形平次捕物控 015 怪伝白い鼠

冒頭文

一 「親分は、本當に眞面目(まじめ)に聞いて下さるでせうか、笑つちや嫌で御座いますよ」 「藪(やぶ)から棒に、そんな事を言つても判りやしません。もう少し順序を立てて話して見て下さい。不思議な話や、變つた話を聞くのが、言はゞ私の商賣みたいなものだから、笑ひも何うもしやしません」 錢形の平次は、凡そ古文眞實(くそまじめ)な顏をして、若い二人の女性に相對しました。捕物の名人と言はれてゐる癖

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋社、1932(昭和7)年6月号

底本

  • 錢形平次捕物全集第十三卷 焔の舞
  • 同光社磯部書房
  • 1953(昭和28)年9月5日