ぜにがたへいじとりものひかえ 031 ぬれたせんりょうばこ |
銭形平次捕物控 031 濡れた千両箱 |
冒頭文
一 深川の材木問屋春木屋の主人治兵衞が、死んだ女房の追善(つゐぜん)に、檀那寺(だんなでら)なる谷中の清養寺の本堂を修理し、その費用三千兩を吊臺に載(の)せて、木場から谷中まで送ることになりました。 三千兩の小判は三つの千兩箱に詰められ、主人治兵衞の手で封印(ふういん)を施(ほどこ)し、番頭の源助と鳶頭(かしら)の辰藏が宰領(さいりやう)で、手代りの人足共總勢六人、柳橋に掛つた
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「オール讀物」文藝春秋社、1934(昭和9)年8月号
底本
- 錢形平次捕物全集第十三卷 焔の舞
- 同光社磯部書房
- 1953(昭和28)年9月5日