みやざわけんじぜんしゅう
宮沢賢治全集

冒頭文

宮沢賢治全集第一回配本が出た。死んだ宮沢は、自分が死ねば全集が出ると、果して予測してゐたであらうか。 私にはこれら彼の作品が、大正十三年頃、つまり「春と修羅」が出た頃に認められなかつたといふことは、むしろ不思議である。私がこの本を初めて知つたのは大正十四年の暮であつたかその翌年の初めであつたか、とまれ寒い頃であつた。由(ママ)来この書は私の愛読書となつた。何冊か買つて、友人の所へ持つて行

文字遣い

新字旧仮名

初出

「宮沢賢治研究 第一号」1935(昭和10)年4月20日

底本

  • 新編中原中也全集 第四巻 評論・小説
  • 角川書店
  • 2003(平成15)年11月25日