ほのせかい
帆の世界

冒頭文

私は女の裸體といふものをつねに怖れた。これは私のまはりに何時も不意に現はれては、わづかな時間のあひだに或ひは消え、そして見えなくなつた。その後で私はその怖れと驚きについて、詳しくどこがこのやうに私といふ人間を次第にこしらへ直すかをしらべた。その一個の裸體をどこかで見ると私はきつとまた別のはだかが見たい希みが起り、別のはだかを見るとその數を算へて見て私のまはりが大きく展がつてゐることを知つた。私は物

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「小説新潮」1960(昭和35)年12月1日

底本

  • はるあはれ
  • 中央公論社
  • 1962(昭和37)年2月15日