かみのないこ
神のない子

冒頭文

ミツは雨戸に鍵をかけて出かけたが、その前に勘三も仕事に出かけた。 あん子は晝まで表に出て、土橋の石に日の當る光の加減を見て、母親が食事の用意に歸つて來るすがたを、町端れから、町の方に眺めた。ミツは雨戸を開けあん子に飯を食べさせ、自分も食べ、やはり晝に戻る勘三にも食べさせた。 三人の食事が終ると、あん子はまた表に出た。母親のミツは雨戸に鍵をかけあん子に眼もくれないで町の方に往つた。あん子が何

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「文藝春秋」文藝春秋新社、1961(昭和36)年10月1日

底本

  • はるあはれ
  • 中央公論社
  • 1962(昭和37)年2月15日