はくしゅうししゅうじょ |
| 「白秋詩集」序 |
冒頭文
詩は芸術の精華である。この詩の道を行ふ外に、私は生れて何一つ与へられてゐなかつた。これが為めに、私はただ一すぢに詩に仕へて来た。詩に生き、詩に痩せ、詩に苦しみ通して来た。人間としてのかうがうしい歓びも、人間の果知れぬ寂しさも、私はたゞ詩に依つてのみ現す事が、ただ私の取るべき道であつた。 私は歌つた。歌はねばならなくなつて、私はただ歌つた。かうして私の詩が流れ出して来た。こんこんとして大地の底か
文字遣い
新字旧仮名
初出
「白秋詩集 第一巻」アルス、1920(大正9)年9月3日
底本
- 白秋全集 3
- 岩波書店
- 1985(昭和60)年5月7日