はとうよ ――にんじょうそびょう――
波濤よ ――人情素描――

冒頭文

おお はるけき方より寄せ来る波濤よ汝が最大の実力と自信を持って岩礁を打て、万丈のしぶきを上げよその時、海神は大空に懸る天日をおおいて。凄惨なる自然の風景を汝がその雄々しき門出の餞(はなむけ)に送るであろうああ、かかる時、汝の使命は世のその努力の頂点(クライマックス)に到達すべきであるされど汝はかの海洋はるかに煙を吐きつつ走るすべの船を船に乗れる同胞を、愛人を使者をどよもす波濤の底へ没し去らんか、お

文字遣い

新字新仮名

初出

「旭川新聞」1926(大正15)年9月10日

底本

  • 今野大力作品集
  • 新日本出版社
  • 1995(平成7)年6月30日