はるのつちへ
春の土へ

冒頭文

早く春になったら、どんなに楽しい事だろう、日向の小高い丘に軟く暖く香高い土があらわれて、蕗(ふき)の薹(とう)が上衣を脱ぎ、水晶の様に澄んだ水が、小川を流れ、小魚がピチピチ泳いでいる。そして先ず一番に「春である」事を思わせる。一日一日暖くぽかぽかとほてって来る陽を背に受けて、私は蘇る様な歓喜に酔う。からだに満ちて来る力が力の精がどこから来て宿るのであるかああそれはあの黒土の香りの中から新鮮な創造の

文字遣い

新字新仮名

初出

「旭川新聞」1925(大正14)年2月3日

底本

  • 今野大力作品集
  • 新日本出版社
  • 1995(平成7)年6月30日