ともとふたりのよる |
| 友と二人の夜 |
冒頭文
遠い野中の家より私を慕うて呉れる友は今夜も十時がなって帰った夜露を分けて来て呉れてもあたたかいもてなしさえ貧しい私達にはゆるされずひとえの着物のはじを幾度か合せ乍(なが)ら語りても聞いてもほほえみ乍ら何程のへだてた思いもなくありのままの事を語らいてお互に解け合うよろこび本箱からは勝手なものをとり出して入れ様ともせず一ぱいに机の上につまされる傍にも又誰ひとりじゃまになる人もなければただ二人自由に束縛
文字遣い
新字新仮名
初出
「青い果第三輯」1922(大正11)年9月
底本
- 今野大力作品集
- 新日本出版社
- 1995(平成7)年6月30日