そらのうみ
天の海

冒頭文

始皇よ長城の如けんうねうねと連らなる山脈(やまなみ)駅路より駅路へ人は人をたよりて母を父を子を友を同胞を旅するものの心つたえて赤き逓送車のまわりゆくまで極みなき地平の物語り出(いづ)る物語り丘に上り我は今日も駅逓の旗を見ん(郷土は峡谷に馥郁(ふくいく)たる香の花を秘めて 知られざる時代に埋もれゆくよ) 太古の儘なる森林に入りてもの思う男もあり禿山の頂に立ちて山脈の彼方なつかしの海にあらずやとふる

文字遣い

新字新仮名

初出

「旭川新聞」1927(昭和2)年1月22日

底本

  • 今野大力作品集
  • 新日本出版社
  • 1995(平成7)年6月30日