いずのいとうへ |
| 伊豆の伊東へ |
冒頭文
地図を見ればここは伊豆伊豆の温泉、伊東の町熱海より五里余汽車もなければそびえ立つ岩肌(がんき)を穿(うが)ち堀りけずり辛くも自動車の往来するこれこそ羊腸の道怪異の岩礁出でて緑の松腰を折ればそこは眺望絶佳といわれてラムネ、レモンを売る腰掛茶屋も並びあり異人の女一人遠き伊豆の山肌を写しており伊豆の山の美しさはわれをして故郷にある貧しけれど情(なさけ)みつる母の心情のうるおいを憶(おもわ)しめ病児をいた
文字遣い
新字新仮名
初出
「旭川新聞」1929(昭和4)年9月19日
底本
- 今野大力作品集
- 新日本出版社
- 1995(平成7)年6月30日