うえたるひゃくしょうたち |
| 飢えたる百姓達 |
冒頭文
稲の穂先へ米が幾粒実ったとてもそれが生活への打撃の少ないものはいい一粒の種から一粒の穂先が首を天上へ——野は早くも荒涼寒冷に夜はあける稲ハセは痩せて鳥の飢えたる鳴き声に不吉な暗示を、百姓達はああ どうしようもない 組合もないいや増しに来る寒さは吹雪となって腿引の破れへ首を釣り穀物の尠い土地に雑草の種は蒔かれる。冬空、雪雲が彼方から村を襲うああ 饑餓と窮乏の争(あらそい)には木の葉となって泥沼の中に
文字遣い
新字新仮名
初出
「文芸戦線」1930(昭和5)年1月号
底本
- 今野大力作品集
- 新日本出版社
- 1995(平成7)年6月30日