ていはくせん
碇泊船

冒頭文

船腹の色のはげ落ちた惨(みじめ)さは遠く波濤とたたかって来た今は疲労になやんでぐったりと体を伸べたようないたわりの心を感ずる廃船のようではないか英蘭(イングランド)の旗を船尾に立てて見れば船員が二三人甲板に出て立っているあの船員の眼は碧く頭髪(かみ)は褐色に染み彼ら異邦を航海する人々雪降り暮るる港にあり

文字遣い

新字新仮名

初出

「旭川新聞」1928(昭和3)年5月31日

底本

  • 今野大力作品集
  • 新日本出版社
  • 1995(平成7)年6月30日