はしのうえのじがぞう
橋の上の自画像

冒頭文

今宵私のパイプは橋の上で狂暴に煙を上昇させる。今宵あれらの水びたしの荷足(にたり)はすべて昇天しなければならぬ、頬被りした船頭たちを載せて。電車らは花車(だし)の亡霊のやうに音もなく夜(よ)の中に拡散し遂げる。(靴穿きで木橋(もくけう)を蹈む淋しさ!)私は明滅する「仁丹」の広告塔を憎む。またすべての詞華集(アントロジー)とカルピスソーダ水とを嫌ふ。哀れな欲望過多症患者が人類撲滅の大志を抱いて、最後

文字遣い

新字旧仮名

初出

「山繭 創刊号」1924(大正13)年

底本

  • 富永太郎詩集
  • 現代詩文庫、思潮社
  • 1975(昭和50)年7月10日