ちゅうこく
忠告

冒頭文

思想の重圧のために眠りがたい躰(からだ)には、起つてロココ風の肘掛椅子に腰を下ろすことが必要である。そして膝を組んで、壁の薄浮彫の淡いニユアンスを眺めながら、細巻のシガレツトを一本ふかすうちには、どんな重苦しい思想の悪夢でも退散させることができるものである。 しかし、もしあなたがたを圧し付けて眠を妨げるものが鈍重な「思想」ではなくて、あの悪意にみちた「悔恨」であつた夜は——あなたがたが道

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 富永太郎詩集
  • 現代詩文庫、思潮社
  • 1975(昭和50)年7月10日