げんしりんのえんぺんにおけるたんけんしゃ une ode
原始林の縁辺に於ける探険者 une ode

冒頭文

Ⅰ 陽(ひ)の眼(め)を知らぬ原始林の 幾日幾夜の旅の間 わたくし 熟練な未知境の探険者は たゞふかぶかと頭上に生ひ伏した闊葉の 思ひつめた吐息を聴いたのみだ。 たゞ蹠(あなうら)に踏む湿潤な苔類の ひたむきな情慾を感じたのみだ。 Ⅱ まことに原始林は 光なき黄金の水蒸気に氾濫し 夏の日の大いなる堆肥の内部さながらに エネルギーの無言の大饗宴であつた。 あゝ嘗て私の狂愚と

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 富永太郎詩集
  • 現代詩文庫、思潮社
  • 1975(昭和50)年7月10日