しゃてきばとぼち
射的場と墓地

冒頭文

墓地見晴し御休処(やすみどころ)——「妙な看板だな」——と我が散策者は独言つた——「それにしても、あれを見ると実際喉が渇く様に出来てゐる! きつとこゝの主人は、オラースや、エピキユールの弟子の詩人たちぐらゐは解つてゐるにちがひない。事によつたら、骸骨か、何か人生のはかなさを示す徴(しるし)がなくては宴会が出来なかつた、古代埃及人程ひどく凝り性なのかもしれない。」 彼は入つて行つて、墓地に向つ

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 富永太郎詩集
  • 現代詩文庫、思潮社
  • 1975(昭和50)年7月10日