しょいあげ
背負揚

冒頭文

鐘(かね)の音(ね)さへ霞(かす)むと云(い)ふ、四月(ぐわつ)初旬(はじめ)の或(ある)長閑(のどか)な日(ひ)であつた。私(わたし)は此春先(このはるさき)——殊(こと)に花見頃(はなみごろ)の時候(じこう)になると、左右(とかく)脳(のう)を悪(わる)くするのが毎年(まいねん)のお定例(きまり)だ。梅(うめ)が咲(さ)いて、紫色(むらさきいろ)の雑木林(ざふきばやし)の梢(こずゑ)が、湿味(

文字遣い

新字旧仮名

初出

「趣味 第三巻第一号」趣味社、1908(明治41)年1月1日

底本

  • 徳田秋聲全集 第7巻
  • 八木書店
  • 1998(平成10)年7月18日