にほんのみんしゅうと「にほんてきなるもの」
日本の民衆と「日本的なるもの」

冒頭文

文壇と一部の評論壇では、一口で云うと「日本的なるもの」の検討が風をなしている。私がこう口を切ると、そら公式主義者が「日本的なるもの」にケチをつけようとするものだ、と推量する周章者も少なくないかも知れないが、そう注文通りには行かないのである。併し公式主義という評語はすでにあり公式主義的に使い古された、何とかもう少し利き目のある評語を考え出すことが必要だろうと思う。それが考え出せぬとすれば、公式主義呼

文字遣い

新字新仮名

初出

「改造」1937(昭和12)年4月号

底本

  • 戸坂潤全集第四巻
  • 勁草書房
  • 1966(昭和41)年7月20日