じょりゅうさっか
女流作家

冒頭文

昨夜同伴(つれ)が二人できて、栄子は或る日本ものゝ映画の試写を見に行きに、小森をも誘つた。その招待券の小森へも来たのは、つひ二三日前のことで、彼は栄子が工合のわるい体を悲観してゐるので、仕事が一つ片づいたところで、何うせ詰らないとは知りながら、舞踊好きな彼女を観劇に誘つて、それだけでも見ようとおもつて家を出たのであつたが、その間ぎわに其招待券を手にしたのであつた。 悦んで仕度をして栄子は下宿へ

文字遣い

新字旧仮名

初出

「新潮 第二十四年第四号」1927(昭和2)年4月1日

底本

  • 徳田秋聲全集 第16巻
  • 八木書店
  • 1999(平成11)年5月18日