ちょうせんのともにおくるしょ
朝鮮の友に贈る書

冒頭文

私の知れる、または見知らぬ多くの朝鮮の友に、心からのこの書翰(しょかん)を贈る。情の日本は今かくするようにと私に命じている。私は進み出て、もだし難いこの心を貴方がたに話し掛けよう。これらの言葉が受け容れられる事を、私はひそかに信じたい。もしこの書を通して二つの心が触れ得るなら、それはどんなにか私にとっての悦びであろう。貴方がたもその淋(さび)しい沈黙を、私の前には破ってほしい。人はいつも心を語る友

文字遣い

新字新仮名

初出

「改造」1920(大正9)年6月号

底本

  • 民藝四十年
  • 岩波書店
  • 1984(昭和59)年11月16日