はくし
白紙

冒頭文

突然が僕を驚かす。僕はそのとき、發見したのだ。ひとりの少女は、埃りにまざつて電車にのつてゐた。朝の空氣が僕たちの間を流れる。僕たちは、眼と眼で、そつとうなづきあふ。ちようど知らない人間同士がするやうに。それから、僕は、何でもない數字を計算する。しかし、僕は自分の苦痛からはみ出さうとするこのたくらみに失敗する。すると僕は、動けなくなる。ぼんやり窓のところを見つめるきりだ。町が、走り去つて行く窓のとこ

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「こかげ 第3号」1932(昭和7)年9月

底本

  • 立原道造全集 第3卷 物語
  • 角川書店
  • 1971(昭和46)年8月15日