ぶんかのひ
文化の日

冒頭文

文化の日、十一月三日というと、ぼくら明治生まれのものには、降る雪も——だが菊の香も明治も遠くなりにけり——の感が深い。だから文化の日の朝はいつも少年期への想(おも)いにつながる。 けさも、茶の間のえんさきで雀を見ていた。そしてふと、このごろは東京の雀もキレイになってきたなと思った。なぜなら終戦後数年間は雀までが焦土によごれてウス汚かったものである。それからやっと雀のオベベも今朝は文化の日

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 吉川英治全集・47 草思堂随筆
  • 講談社
  • 1970(昭和45)年6月20日