しんらんしょうにんについて
親鸞聖人について

冒頭文

先ごろは、親鸞聖人の大遠忌があり、今夜も親鸞聖人についてご関心の深い、またご信仰の深い皆さまのお集まりと思うのでありますが、私はそうした皆さまにお話し申し上げるほどの何も持っていないんです。だのに、かつて小説の上で親鸞を書き、その映画で錦之助君が親鸞をやったりした。あのような小説を物知り顔に書きましたのも、いまにして思えば、若気のあやまちであります……。 小説親鸞や錦之助君の親鸞を見ると

文字遣い

新字新仮名

初出

「毎日新聞」1962(昭和37)年10月1日号から9回に分けて連載

底本

  • 吉川英治全集・47 草思堂随筆
  • 講談社
  • 1970(昭和45)年6月20日