うめちらほら
梅ちらほら

冒頭文

× どこでもいい。それこそ裏町のごみごみした露路越しでも、アパートの窓の干物のそばでも、村でも、野でも、或は、ビルデングの歩廊の壺に挿してあるのでも。 春さき、梅の花を、チラホラ見かける頃ほど、平和と、日本の土の香を、感じるときはない。 私は、梅が好きで、いつか「梅」の随筆を、まとめてみたいと思っている。梅に関する折々の感興や話題を古今に集めたら、たちどころに一冊にはなる

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 吉川英治全集・47 草思堂随筆
  • 講談社
  • 1970(昭和45)年6月20日