「くろめ」より
「黒瞳」より

冒頭文

おくつきに跪(ひざまづ)き わが父の墳塋(おくつき)に とこしへの愛を われにちかひぬ。 汝もし操なくば 一日(ひとひ)たてし誓に 願くば過(よぎ)る勿れ わが父の墳塋(おくつき)を。 * 天の星、 谷の花、 こゝにして子らは日をみむ、 こゝにしてわがおやゆきぬ。 うれたくも、 子らなくば なが胸ぞ子らの墳塋(おくつき)ならば よぎる勿れわが父の墳塋を。

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「明星」1901(明治34)年1月

底本

  • 上田敏全訳詩集
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1962(昭和37)年12月16日